火打山(ひうちやま)
2462m
黒沢池ヒュッテから見た火打山 撮影=塩月
火打山(2462m)です。
みなさんはライチョウを見たことがありますか?見たことはなくてもほとんどの人が聞いたことあると思うのですが・・・
今回,この火打山に登るきっかけになったのは,下の信濃毎日新聞のライチョウに関する記事がきっかけでした。
| 国特別天年記念物で県鳥の「ライチョウ」は,遺伝的多様性が極めて低く,絶滅の危険性が高いことが,信大教育学部(長野市)の中村浩志教授(五二)-鳥類生態学-,九州大(福岡市)の馬場芳之助手(三三)-鳥類遺伝学-らの研究グループによる分析で明らかになった。中村教授は「トキのようになる前に保護策を確立する必要がある」と指摘している。 環境省のレッドデーターブックで「絶滅危ぐU類(絶滅の危険が増大している種)」のライチョウは,南北アルプスと周辺の標高二,四○○bを超える高山帯に生息し,個体数は推定で約三千羽。近年,地球温暖化や環境破壊による影響で数を減らしており,かつて生息していた八ヶ岳,蓼科山,中央アルプス駒ケ岳,白山(岐阜,石川県境)は姿を消している。 中村教授らは,新潟県火打山から南アルプス光岳の間で,ライチョウの血液や落ちている羽を採取。百三十一羽のサンプルから,細胞の中にある小器官「ミトコンドリア」が持つDNAを抽出し,そのうち当然変異が起きやすいため遺伝的多様性の目安になる「コントロール領域」の遺伝子の型を調べた。 |
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| その結果,LmAk1,LmAk2,LmHi1,LmHuという四種類の存在を確認。地域別に内訳を調べると,御岳山で十四羽すべてがLmHi1だったのをはじめ,個体数の多い北アルプスで四十三羽中四十二羽がLmHi1,南アルプスも二十二羽中二十一羽がLmAk1と,極端に多様性が低かった。 一方,火打山(九羽)と乗鞍岳(四十二羽)では二,三種類の型が見られ,割合も比較的バランスが取れていた。 一般的に多くの遺伝子型が存在するほど,環境変化にうまく適応できるなど,種の存続に有利だと考えられている。逆に遺伝子的な多様性が失われると,絶滅の危険性は高まる。「特に北アルプスは個体数が多い(約二千羽)ので安心していたが,実際にはここまで多様性が低いとは予想外だ」と中村教授は言う。 北アや南アといった地域個体群の中で遺伝的名多様性が低くても,個体が地域を行き来していれば多様性を保てる。しかし今回の結果から,北アと南アの間には全く交流がないことが判明。また,北アと乗鞍岳,北アと火打山の間も交流はわずかで,御岳山は完全に孤立している可能性が高いことから,生息域が完全に分断されていることも分かった。 中村教授は「まだ調査数が不十分なので,さらに集めて分析する必要がある」とした上で,「絶滅を食い止めるために,既に姿を消した八ヶ岳や駒ケ岳といった場所に放鳥するなどの取り組みが必要だ」と話している。 |
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| 2004年5月31日 信濃毎日新聞朝刊「ライチョウの遺伝子型 多様性低く絶滅の危険」より | |
この記事を読んで,“ひゃ〜!ライチョウ絶滅するじゃん!!大変だ〜!”というふうに驚いたわけではありませんが,新しい発見がありました。
“へぇ〜!火打山ってライチョウがいるんだ”
びっくりです。ライチョウは,北アルプス・南アルプスなどの3000メートル級の山岳地帯にしかいないと思っていたのです。中央アルプスや八ヶ岳で絶滅しているのは知っていたので,まさか2500mにもとどかない,しかも,それほど山深いとは思えないようなところにライチョウが生き残っているとは正直驚きました。(ていうか,火打山って意外に標高の高い山なのね・・・)
なにはともあれ,私はライチョウが大好きです。ついでに言うとブナの木も大好きです。それはなぜか!?と言いますと,両者とも“滅びゆく貴重な存在”で,“今見とかないとこの先いつ見れるかわからないぞ!”みたいな,なんとなくブランドイメージ?に近いものがあるからです。また,山に登らないと(基本的には)会えないので,なんとなく“山にキター!!”というイメージを与えてくれるのも大好きな理由です。特に山岳地帯に乏しい九州で生まれ育った私にとって,ライチョウやブナの木は非常にめずらしいものに感じられるのでした。
ちなみに私が初めてライチョウに遭遇したのは,今から10年前,大学の授業で乗鞍岳に登ったときでした。
残念ながらそのときの写真はないのですが,私たち(人間)を見ても,ほとんど逃げる様子の無いライチョウを見て,ミョウに感動したのを覚えています。
そんなわけで(どんなわけ?),今まで私の出合ったライチョウ君をご紹介いたします。
| まずは白馬連峰縦走下山中に見たライチョウ | |
撮影=塩月 |
くう〜!非常にわかりにくい。 たぶんメスだと思うのですが。 |
| これは鹿島槍ヶ岳登山中に見たライチョウ | |
撮影=塩月 |
くう〜!これもまたちっちゃく写ってわかりにくいなぁ。 ちなみにこれはオスです。写真ではわかりませんが赤いとさかがあります。 ちょうど5月の繁殖期で,メスをもとめて“ぐえ〜ぐえ〜”と蛙みたいな声で鳴いてました。 |
| 聖岳登山中に見たライチョウ | |
撮影=塩月 |
この写真はいいねぇ。 オスメスつがいのライチョウです。 12月だったので,羽は真っ白でした。 |
ということで,今回の山行は“極上のライチョウの写真を撮るために火打山へ行きましょう!”といった感じで向ったシダイであります。
そのときの日程です。
2004年7月19日:笹ヶ峰登山口⇔高谷池ヒュッテ⇔火打山
火打山は新潟県にあります。妙高高原の近くと説明すればわかりやすいとおもうのですが,私の住んでいる飯田市からはとてつもなく遠いところです。できれば一泊ぐらいしたいのですが,休みのほとんどとれない私は日帰り(朝4時発)で行くしかありません。ここらへんが,日帰り登山の北限ではなかろうか?と思ったりもします。
高速道路をかなりぶっ飛ばして,約3時間で笹ヶ峰登山口に到着です。登山口には“いかにも登山口”という感じの門がありました。
| まさしく登山口 撮影=塩月 |
なんだろうこれは? これを見ただけでも,非常に整備された登山道が予想できます。 |
火打山は日本百名山にもなっているので,それなりにメジャーな山ではあると思ってましたが,“それほでもないだろう”とも思ってました。しかし!休日ということもあって,登山口は登山者で大賑わいです。ちょっと意外です。
登山口の門をくぐると,よく整備された木道が続きます。とても快適で非常に歩きやすい。これもアリでしょう!
| 整備された木道 撮影=塩月 |
周りがブナに囲まれた,気持ちのいい登山道です。 木道なので気軽なハイキング気分で登山ができるのがいいですよね。 |
思ったより長く木道が続いてくれるので,楽に歩くことができます。しかし木道がなくなったとたん,ぬかるんだ泥んこ道になり非常に難儀しました。これが普通なんだろうけど・・・
約2時間ほどで富士見平という笹で覆われた開けた平地に出ます。ここも木道が整備されて快適です。
| 富士見平付近 撮影=塩月 |
ここもよく整備されて歩きやすい。 |
ほどなく高谷池ヒュッテに到着します。
高谷池ヒュッテは,高谷池越しに火打山を眺めることができる,なかなか良きビューポイントです。この日は,あいにくの天気で火打山に雲がかかっていました。
| 高谷池ヒュッテから見た火打山 撮影=塩月 |
手前の湿原が高谷池です。 天気が良ければ,きっと素晴らしい眺めでしょう。 |
高谷池ヒュッテからは,火打山が間近に見えて“もう一息”という感じがします。
しかし,火打山登山は,ここからが面白いところだったりするのではないでしょうか。高谷池や天狗の庭などの湿原を通り抜けていくのですが,まるで尾瀬のように感じました。天気が良くて花の季節であれば,きっと素晴らしいところでしょう。
| 火打山側から見た高谷池ヒュッテ 撮影=塩月 |
う〜ん。 他ではなかなか見られない,なんとも素敵な場所だ。 こういう池塘(※)の点在する湿原のほとりで,のんびりと一日過ごしたいんだけどなぁ〜。 ※湿原内にある池 |
| 途中にある池 撮影=塩月 |
田んぼかと思いました。 |
| 天狗の庭 撮影=塩月 |
白い綿帽子のついた花(?)が咲き乱れる素敵な場所です。 |
湿原を通り過ぎると,タケカンバが生い茂る緩やかな登りになります。
撮影=塩月 |
タケカンバがやたら傾いているんですが・・・ よっぽど風が強いところなんだろうなぁ。と思ったら,ここは豪雪地帯。雪の重みで曲がったのでしょう。 |
やがて火打山頂上へと続く,よく整備された登山道へ出ます。ハイマツが生い茂り“いよいよライチョウに遭遇か!?”とテンションも上がってこようモン!
| 火打山頂上方面 撮影=塩月 |
丸太で足場が固定された登山道が頂上まで続きます。 木道もそうなんですけど,火打山は登山道が良く整備されています。人によっては“自然では無い”と反対するかもしれませんが,私は“アリ!”だと思います。このおかげで登山道の侵食が進まないので,山も荒れません。 |
丸太で整備された登山道をズンドコ歩けば,頂上はすぐそこです。
しかし!肝心のライチョウはどこへやら?途中,“雷鳥広場”と呼ばれる開けた場所にでるのですが,ライチョウの姿は見ることができません。
火打山の頂上まで,あと少し。ほとんどあきらめかけてた,そのときです!
い,いました!!ライチョウです!しかも子連れ。
うひょぉ〜!!
って,実際はそんなに感動したわけではなかったりします・・・
| 火打山のライチョウ 撮影=塩月 |
“えっ!?どれが?”って言われそうなほど,わかりにくい写真で申し訳ない。 これはオスのライチョウです。子連れでいたのですが,母親と子供はハイマツの陰に隠れてしまいました。 |
そんなわけで念願のライチョウに遭遇できたわけですが,実際にライチョウに会ったのは,ホントに頂上まであと少しのところでした。かつて雷鳥広場と呼ばれていた標高2400m付近にも生息していたとすれば,現在は標高2450m付近の限られた場所に生息場所を追いやられたのではないかと心配したりもするわけです。
だがしかし!“確かに火打山にはライチョウがいた!”(いや・・・だからどうしたって感じがしないわけではないんだけど・・・)
そんなわけで目的のライチョウも見ることができたし,ヨカッタヨカッタって感じなんですが,たまにはこんなふうに,山を登りながら“自然”とか“環境”なんかを考えてみるのもいいかなと思ったりもします。
そんなもんで。