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3033m ![]()
南アルプスの仙丈ケ岳です。
この山を初めて見たのは,10月に白峰三山を縦走したときで,この山の第一印象は“メチャクチャでけぇ〜”でした。そ
のとき南アルプス初体験であったので,北アルプスとの山容の違いに感動したのを覚えています。なんと言っても,一 つ一つの山がとにかくでかい!いや,こんなもんなのかな?まぁいいや・・・
そのなかでも,特に“でかい!”と感じたのが,この仙丈ケ岳です。
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北岳肩ノ小屋付近より見た仙丈ケ岳 撮影=塩月
なんというかなぁ・・・ 私が持っている山のイメージそのものなんですね。まん中が少し高くて,両肩からが末広がりな
感じが。氷河時代の名残の仙丈カールもみごとです。これはもう,絶対に登るしかない!と思いました。
そして,白峰三山縦走を終え下山した翌々週には,仙丈ケ岳へ登るべく甲府へと向ったのです。
しかし,なんたること!!仙丈ケ岳への登山口である北沢峠行きのバスが,落石のため通行止めに。私は仕方なく,
別の山に行くことにしました。
そうこうしているうちに12月に入り,山は雪化粧をした冬山になってしまいました。このころになると,仙丈ケ岳への想い
も薄れてきて,“まぁ,来年もあるさ”ぐらいに感じてました。
しかし,まだ積雪もそれほど多くない12月の初旬に,“とりあえず高い山を一つ登っておこう”ということで,なんとな〜
く?甲斐駒ケ岳に登ったときのことです。甲斐駒ケ岳頂上より見た仙丈ケ岳があまりにかっこよく“これは,はやいと こ登っとかんとイカン!”とわけもわからず思ってしまったのです。 ![]()
甲斐駒ケ岳山頂より見た仙丈ケ岳 撮影=塩月
しかし本格的な冬山に登ったことのない私にとって,この時期に一度も登ったことのない山に,いきなり登るのはかなり
不安です。だけど年末年始であれば,人も沢山入るから,一人で登りに行っても大丈夫だろうということで,何が大 丈夫かよくわからないが,とりあえず年末・年始に登ることに決めたのです。
それから仙丈ケ岳への三週間は,毎週のように奥秩父に山行へ行き体力づくりに励みました。自分でもよくやるもんだ
と思ったシダイであります。
仙丈ケ岳への山行は12/27〜30に実施しました。
そのときの日程です。
1日目 : 新宿〜辰野 夜行(急行アルプス)
2日目 : 辰野〜伊那市(JR),伊那市〜高遠〜戸台口バス停(JRバス),戸台口バス停〜北沢峠
3日目 : 北沢峠〜仙丈ケ岳〜北沢峠
4日目 : 北沢峠〜戸台口バス停,戸台口バス停〜伊那市(JRバス),伊那市〜新宿(中央高速バス)
登山者で混雑する大晦日を避けた日程です。というより,大晦日には帰りたかった日程だったりします。
仙丈ケ岳には北沢峠から登ります。
登山シーズンの6月中旬〜11月初旬までなら,北沢峠までバスが通っていますが,この時期はふもとの戸台口バス停
から登らなければなりません。車であれば,さらに奥の戸台に駐車場があるので便利ですし,ずいぶんと楽です。なぜ なら戸台口バス停から戸台まで歩いて1時間半〜2時間かかるうえ,戸台口バス停到着のバスは,最も早い時間のも ので10時ぐらいと,その日のうちに北沢峠まで入るには,かなり厳しくなっています。しかし車を持っていない私として は,多少厳しい日程でも,がまんしなければいけないのですが・・・
訂正します。仙丈ケ岳には戸台口バス停から登ります。
私が入山した日に,同じようにバスを使って戸台口バス停まで行く人がいました。名前ははっきり覚えてはいませんが,
確か梅沢さんという方だったと思います。たぶん私と同じぐらいか,年下だと思います。
梅沢さんは,東京のなんとかという山岳会の所属していて,その合宿で山登りに来たそうです。合宿なのになんで一人
なのか訊ねると,北沢峠で,黒戸尾根から甲斐駒岳を越えてくる同じ会の仲間と落ち合うとのこと。
彼は前の晩に,高速バスで伊那市までやってきたが,泊まるとこがないのでとりあえず駅に寝ようとしたらしいが,駅か
ら閉め出され,駅前にテントもはらずシュラフに包まって一夜を過ごしたそうです。
ちなみにその晩は,雪がちらつくとんでもない寒さでした。梅沢さんも“駅の人もひでえよな〜 オレが凍死したらどう
すんだよ!”と笑いながら言ってました。彼にとっては,そんなにつらくなかったように見える。
その梅沢さんは伊那市駅で,同じように登山に来たと思われる私を見て,話かけてきてくれました。彼からのファースト
コンタクトは“一人なんですか?”でした。
行く方向が同じだとわかると,いろいろと話しかけてきました。彼が話す内容は,もっぱら自分の山行のことばかりなん
ですが,どの話も私にとっては“超人的”なことばかりで,かなり驚かされました。
ちなみに彼の今回の山行も,北沢峠からピストンで甲斐駒岳をやっつけて,それから仙丈ケ岳を越えて間ノ岳へ行き,
その後,北岳・間ノ岳・農鳥岳を縦走して奈良田へ下るというもの。下山予定は1/4だそうです。
す,すげぇ・・・
なにはともあれ“旅はみちづれ・・・”ということで,一緒に歩くことに。
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戸台の登山補導所で,登山届を書く梅沢さん
冬の登山口である戸台には,登山補導所が設けられていて,ここで登山届のチェックを受けます。
普通,登山補導所といえば,山の情報を事前に教えてくれる場所でもあると思っていたのですが,ここでは登山届のチ
ェックはしても,山の情報については全くといってもいいほど得ることはできませんでした。私が“明日からの山の天気 はどうですか?”とか“積雪はどのくらいですか?”というふうなことを聞いても,“さぁ〜 あんまりよくないいじゃな い。”“昨年よりは,雪は多いらしいよ。”といった具合です。
昨年より雪が多いって,どのくらいじゃー!
梅沢さんも“どうせあいつら,やっつけ仕事だと思ってるんだろ。”と,“そんなもんだよ”といった感じでした。
戸台からは,戸台川の河床を歩いて行きます。
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登山道入り口のゲート 撮影=塩月 雪の降りしきる戸台川 撮影=塩月
戸台から北沢峠までは,コースタイムで約5時間半となっているます。戸台に横着した時刻が12時ぐらいだったため,明
るいうちに北沢峠に入るには,少し急がなくてはいけませんでした。
しかし梅沢さんを見ると,全く急ぐ気配はなく,むしろペースが落ちてきます。雪もどんどん降ってくるし・・・
すると梅沢さん“今日は,北沢峠までは無理だな。”
な,なに〜!!
というのも,週間天気予報だと天気が良いのは,翌日29日だけで,その日に仙丈ケ岳にアタックするには,28日中に北
沢峠に入らなければならなかったからです。
しかたないので私は,そのまま梅沢さんを置いて先に行くことにしました。もともと別々のパーティーですし,自分の予定
を優先するのは当たり前といえば当たり前なんですけど。それに彼は,私と違ってこれから何日も山に入るので,初日 に無理はできないと判断したのでしょう。なんといっても,その装備(重量)からして私と全然違いました。
彼はなんと!私の倍以上の重さの荷物を担いでいたのです。
私の装備は1人用テント・4〜5日分の食料などで,総重量は15〜20s程度に対し,彼の装備は,3人用テントに10日分
の食料の他,ガスカートリッジ7個・ザイル・カラビナ・酒3リットル・赤飯など,総重量は40s近くにもなっていました。
“いくら年越しを山でするにしても,酒3リットルに赤飯はないだろう。”と思いましたが,彼いわく“普通だよ。”
ちなみに彼のザックを持たせてもらったんですけど,マジで持ち上げることができなかった。“自分は岳人にはなれな
いな”と思ったシダイであります。
そんなふうなので当然,歩くスピードも遅くなります。これで,私ぐらいのスピードで歩いてたら,ショックを受けてたでしょ
う。いや,そんな荷物を担いでる時点で十分ショックでした。
それからはペースを上げて,独りで歩いていきました。
無人小屋の丹渓山荘を過ぎると,鬱蒼とした森林の中に入るのですが,暗い雪の登山道を独りで歩くのは,かなり恐ろ
しかったです。熊でも出たらどうしようか,マジでビビッテました。
というか,この時期に熊がでるわけねぇか。がは!
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撮影=塩月
結局,北沢峠の長衛小屋テント場に到着したのは,夕方の6時を過ぎていて,あたりは真っ暗でした。途中,八丁坂と
呼ばれているきつい急登があって,テント場に着いたときは,もうへとへと。
このとき雪がかなり降っていて,テントを張って中に入ったときは,本当にホッとしたな〜
この日,テント場に張ってあったテントは,私のも含め合計3張だけでした。明日,だれか仙丈ケ岳に登る人はいるのだ
ろうか?と不安になったりもしましたが,なによりも天気のほうが大事であることを思い出し,とりあえず天に祈りながら 寝ました。 ![]() |