後立山連峰 唐松岳〜五竜岳縦走


                     唐松岳頂上山荘付近から見た,朝の唐松岳





北アルプス後立山の唐松岳(2696m)〜五竜岳(2814m)縦走です。

登山を趣味としていると,一度は冬の北アルプスをやってみたいと思うのではないでしょうか?
しかし現実は,厳しい天候と大量の積雪によって,実現するのは非常に困難だったりします。そこで私は,天候の落ち
着く3月を待って,この山行を実行しました。
というより,南アルプス,八ヶ岳の手頃(あくまで,単独行ができそうな山という意味で)な山を登っていたら,3月になって
しまい,そんでもって北アルプスにしか登りたい山が残っていなかったりするわけで・・・
この一年アホみたいに山に登ってきた私としては,もうそろそろ北アルプスをやっても大丈夫かな?と考えてました。

唐松岳から五竜岳への縦走(といっても小縦走だな)にしたのは,アプローチが比較的容易であるという理由からです。
スキー場のゴンドラやリフトを利用すれば,あっという間に森林限界付近(標高約1900)まで高度をかせぐことができま
す。なんと便利な世の中になったのでしょうか!
え?邪道?
利用できるものは利用する。それが私の登山哲学です。がは!

計画は八方尾根から登り,唐松岳から五竜岳を縦走して遠見尾根から降るというもの。

そのときの日程です。
1日目(2002/03/01):新宿駅〜白馬駅 夜行(急行アルプス)
2日目(2002/03/02):白馬駅〜八方尾根スキー場(バス)〜八方池山荘(ゴンドラ・リフト)〜唐松岳頂上山荘:テント
3日目(2002/03/03):唐松岳頂上山荘〜唐松岳:往復,唐松岳頂上山荘〜五竜山荘:テント
4日目(2002/03/04):五竜山荘〜五竜岳(往復),五竜山荘〜アルプス平駅〜五竜遠見スキー場山麓駅(テレキャビ 
             ン),山麓駅〜JR神城駅(徒歩)〜松本駅(電車)〜新宿駅(高速バス)

どの山行でもそうなんですが,出発の前日にはその計画を,何人かの友人や家族に連絡しておきます。単独行の場合
は,特にその必要があるでしょう。と,ワガハイは思います。

どうでもいい話なのですが,この山行に出発する前夜,山仲間の江川から,こんなタイトルのメールをもらいました。

「傷心未だ癒えずか」

ぶははははは!
ちょっと,うけたぞ!
よく山の本で,失恋したショックで無謀なルートを計画し遭難する話があるが,私の場合も失恋(というより破局だな)を
して,自暴自棄になって無茶をするのでは?と思ったようです。
当然,そんなつもりは無くて,山の難易度としても,攻略本(日本雪山登山ルート集:山と渓谷社)から★三つ以下のグ
レードを選びました。自分ではこのぐらいまでが,独りでもいけるかな?という基準になっています。
いやぁ〜,タイミングが悪いというか,なんというか,同じようなメールを他の人からもらったような・・・

とはいうもの,名にしおう豪雪地帯の後立山連峰です。厳冬期は過ぎたとはいえ,雪崩などの危険があり,とても油断
できる状況ではありません。単独行は自殺志願者と思われてもしかたないかな?と思いつつ,そういうネタになるような
結果にだけはならないよう,万全の準備を整えるのでした。

JR白馬駅には,夜行の急行アルプスに乗っていきました。
スキー客でごった返しているとおもいきや,そんなに混んでなかったりします。やはり不況の影響なのか。

電車では,だいたいほとんど眠れないのですが,今回は自分でも驚くほど,よく眠れました。
白馬駅に到着したのは,朝の5時半頃だったかな?やはりというか,登山客は少なくて,スキー客ばかり。
6時20分の八方尾根スキー場往きのバスに乗ったのは,登山客では私一人でした。サビシー!

八方尾根スキー場からは,ゴンドラとリフトを乗り継いで,標高1900m程のところにある八方池山荘まで一気に上がりま
す。スキー客に混じってリフトに乗るのはちょっと勇気がいるけど,まぁ仕方ないかな。

天気が良くて,鹿島槍と五竜岳がハッキリ見えるほどでした。

 八方池山荘付近から見た,鹿島槍ガ岳
ちょこんと二つ,ピークが出ているのが鹿島槍ガ岳です。
五竜岳もチョットだけ見えます。
スキーで来たときは,全く見向きもしなかった山ですが,登山で来
て見ると妙に感動してしまいます。
スキーのリフトからはもっとよく見えます。
 撮影=塩月


いよいよこれから,本格的な山登りの開始です。
八方池山荘には,私のほかにも何人かの登山者がいました。少し安心したりします。

 八方池山荘からみた八方尾根
八方尾根は,だだっ広くて緩やかな尾根です。
それだけに,天気が悪くなると,自分の居場所がわからなくなり危
険です。天気の悪い日の行動はひかえましょう。
って,俺が言うことでもないか。
 撮影=塩月


雪もダイブしまっていてラッセルの必要も無く,すこぶる快適な尾根でした。傾斜も緩やかなので,とりあえずアイゼンも
しまっておくことにします。
夜行列車に乗ったわりには,よく眠れたので体調もすこぶるいい!かなりいい感じのスタートです。
八方尾根からは,かつて登った白馬三山も間近に見えて,とってもご機嫌でした。
 
 八方尾根から見る白馬三山
すごくいい感じ。
一度登った山を,ほかの山行で見ると感激します。
まさに自己満足の世界だな。
 撮影=塩月


八方尾根は,山スキーが盛んな場所でもあります。
この日もたくさんのスキヤーやスノーボーダーを見かけました。


 ボードを担いで行くヤングたち
ある意味これも,命がけのスポーツだな。
しかし,みんな元気がいいなぁ〜
私はバンバン追いぬかれていきました。
 撮影=塩月


標高も上がるにつれて,風が出てきました。
途中に,なんの木なのか知りませんが,風を防いでくれそうな林があったので休憩することに。

 なんかいい感じの風景
一時間ほど休憩をすることに。
ここで,アイゼンをつけることにしました。
ちなみに私のアイゼンは,シャルレの12本爪アイゼンです。
これをつけると,どんな場所でも行ける気がします。
 撮影=塩月


これからだんだんと,傾斜がきつくなってきます。

 雪ばかりの景色
先行者がごま粒のようにしか見えない。
 撮影=塩月


びっくり!
気がつくと,雲に覆われてきました。
 
 ここはどこなんだー!?
先行者とケルンが,なんとか見える状態です。
八方尾根は,逗子開成高校の生徒が大量遭難したことで有名で
すが,自分もそうならなくてよかったです。
でも,これを見ると遭難した理由がわかります。
イッタイココハドコデスカ?
 撮影=塩月


天候が崩れてきたので,引き返そうかと少し考えたましたが,そのまま進むことにしました。
しばらく行くと,白馬鑓ヶ岳から唐松岳への縦走路である,「不帰ノ瞼(かえらずのけん)」と呼ばれる難所が見える。
なんかすごいぞ!

 不帰ノ瞼
「不帰キレット」とも呼ばれています。
こんなところ行くやつは親不孝者じゃ!
 撮影=塩月


八方尾根も標高が上がるにつれて,だだっ広い尾根から険しい岩稜地帯へと変化します。
なんか山に来たぞー!って感じになってきました。五竜岳もその威容を現し,だんだんと緊張してきます。


 険しい尾根路                            不気味に浮かび上がる五竜岳の威容
    
 撮影=塩月                             撮影=塩月


ここまで来れば,唐松岳頂上小屋まであとわずか。しかし,天気はどんどん悪くなる。
なんとか頂上小屋に着く頃には,猛烈に吹雪いていて自分がどこにいるのかさっぱりわからない状態でした。
とりあえず近くに山小屋があるのがわかるのだけど,テン場がどこなのかさっぱりわからない。どうしようもないので,ス
コップで雪を掘り,とりあえずそこにテントを張ることにしました。
しかし,テントを張るのにこんなに苦労したことはなかったなぁ〜。

八方池山荘を通ったのが8時頃で,唐松岳頂上小屋に到着したのが,14時30分ごろでした。
雪を解かして水を作ったりしていたら,あっというまに時間が過ぎていきます。まぁ,どうせやることなんかないんだけ
ど。
しかし,風が猛烈に吹いていたのは,まいりました。テントの2/3が隠れるほど雪を掘りこんだのですが,それでも吹き
飛ばされるのではないか心配なほどフレームがゆがんでました。結局,風がおとなしくなる朝方まで,ほとんど眠れない
まま不安な一夜を過ごすことに・・・

おっはー!
朝の5時頃,テントのベンチレーター?(空気穴)から外を見ると,満天の星空が広がってました。
すごい!奇跡だ!!
さっそく出発の準備にとりかかることにしました。

外がうっすらと明るくなってきたので,外に出てびっくり!
目の前には,つるぎ岳がどーんと聳え立ってるではないか!おまけに唐松岳もこんなに近くだなんて。
まさに前日とは,天国と地獄の違いである。
でも,なによりびっくりしたのは,テントを張った場所が雪に埋もれた唐松岳頂上小屋の上であったということです。
ぶははは!全然,わからんかった。

 朝日に染まる剣岳                         唐松岳
    
 撮影=塩月                             撮影=塩月


しかし,他に登山者がいたはずであるが,どこにも見あたらない。
テン場を見ても誰もいない。
はて?どこにいったのか?
天候が悪化したので,前日のうちに引き返したのでしょう。たぶん・・・


とりあえずテントをたたみ,唐松岳頂上へ空身(ほんとはいけないんだけど)でアタック!!
天気もよくてサイコー!

 唐松岳山頂から見た白馬連峰                  雲海にうかぶ剣岳
    
 撮影=塩月                             撮影=塩月


唐松岳山頂までは,頂上小屋から30分ほどで着きます。とくに危険なところはないので,安全登山をしたい人にはおす
すめです。
頂上にいるのが自分一人だけというのは,とても気持ちがいいものです。
とりあえず大声で万歳三唱をしてみました。なんで?

そして,いよいよこれからが,この山行の核心部ともいえる縦走です。

 唐松岳頂上から見た,五竜岳へと続く縦走路
う〜ん。
なかなか厳しそうだのう。
 撮影=塩月


いくぞー!

おー!





唐松岳〜五竜岳縦走 後半につづく





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